2022-01-01から1年間の記事一覧
薙刀の初見に関する続きです。前回は久安6年(1150年)~平治元年(1160年)に編纂された『本朝世記』の久安2年(1146年)3月9日の記事を引き、『世界大百科事典』のいう薙刀の初見を確認しました。今回は近藤好和氏の『弓矢と刀剣』にある以…
薙刀と言えば槍が普及する以前の武士の長柄武器の代表格です。その文献上の初出がいつかということについて今回確認してみたいと思います。まずは薙刀の初見についての情報及びその出典を見てみましょう。 https://kotobank.jp/word/%E8%96%99%E5%88%80-8573…
これまでの【『平家物語』の二刀流】では『延慶本』や『覚一本』などの『平家物語』において源行家が二刀流で戦う場面があることや、それに関連して『太平記』において新田義貞が二刀を用いる場面があることを紹介しました。 しかし『平家物語』の一部語り本…
前回は『平家物語』諸本の中でも古態を多く残すという評価のある『延慶本平家物語』において、平家滅亡後に鎌倉方から追われる身となった源行家が、捕縛のため派遣された常陸房昌命を相手に右手に三尺一寸の太刀、左手に鍔のない太刀を持つ二刀流剣術で戦い…
後北条氏の遺臣・三浦浄心は『北条五代記』で、かつて戦国時代関東の若い輩の間で、柄を長く拵えた刀が流行したことを記しています。それは書かれた時代でいうところの鍵槍のように流行したものですが、この時代の人々の感覚では珍奇に見えたであろう刀のよ…
tougoku-kenki.hatenablog.com 前回は壇ノ浦合戦の基本史料から「『平家物語』以外に水手への攻撃を記す史料は無い」という情報の真偽についての確認を行い、実際その記述がなかったことを確かめました。今回はその水夫への攻撃が唯一記されているという『平…
tougoku-kenki.hatenablog.com 前回お話したように壇ノ浦合戦の源氏方による水夫への攻撃は、 ■『延慶本平家物語全注釈 第六本』(※1)・水夫への攻撃は『平家物語』諸本のみに見えるが ■『四部合戦状本平家物語全釈 巻十一』(※2)・『平家物語』以外に水…
前回はみね打ち(棟打ち)が古態を多く残すとされる『延慶本』を含む『平家物語』諸本や『義経記』などに見られるように、意外と古くから知られる攻撃手段であったことをお話しました。今回は近世文献に登場する戦国武士や武芸者たちによるみね打ちの話題を…
日本史や歴史小説に興味のある方は、以下のように描かれる源義経のイメージや壇ノ浦合戦の展開を何がしかの形でご覧になったことがあるのではないでしょうか。 ■小説 司馬遼太郎・著 『義経』(※1) 1968年単行本刊行 該当回の雑誌掲載は『オール讀物』…
旧ブログでも反応の多かった神道流系統の奥義「一つの太刀」についての小記事です。そちらでは以下のように「一つの太刀」が松本備前守や塚原卜伝らを開発者とするものだけでなく、神道流の開祖である飯篠長威斎を起源とする説が江戸時代前期の地誌『古今類…
刀の刃ではなく、その裏側の峰で殴ることで命を奪わずに済ませる「みね打ち(棟打ち)」という攻撃手段ですが、これは近年の芝居や時代劇ドラマなどの都合から生まれたものではなく、中世・近世の文献を調べてみると意外と古い時代から見られるものであるこ…
二刀流剣術と言えば一般的にはその代名詞とされる宮本武蔵の例など戦国時代以降の技術とイメージされることが多そうですが、『平家物語』諸本を見る限り、鎌倉時代に遡り得るか、遅くとも室町前期には発想の存在した戦闘方法であることもわかります。その戦…
戦国時代後期毛利家に仕えた武士・玉木土佐守吉保の自叙伝である『身自鏡』という覚書があります。成立は元和3(1617)年でこの種の覚書の中では比較的早く、また以下のように内容の点でも評価の高い文献史料です。 みのかがみ【身自鏡】毛利家の家臣玉…
以前はyaplogの方で「東国の剣豪たちや日本刀について」というテーマでブログをやっておりましたが、こちらで再開することにしました。 神道流系を中心にした東国の剣豪、剣術、そして日本刀に関しての調査や再検証という元々扱っていたテーマだけでなく、『…